研究課題/領域番号 |
16330100
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
杉山 あかし 九州大学, 大学院比較社会文化研究院, 助教授 (60222056)
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研究分担者 |
神原 直幸 順天堂大学, スポーツ健康学部, 助教授 (70255652)
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キーワード | 文化社会学 / カルチュラル・スタディーズ / コミックマーケット / 同人誌 / 即売会 / おたく / 大衆文化 / 出版文化 |
研究概要 |
既に実施済みの調査データについての分析を進めたのが、本年度の作業である。 サークル参加者調査について、2次分析からいくつかの知見が得られたが、最も興味深いものは次の点であった。好きな作品の要素についての因子分析を、全体を対象として行なうのではなく、女性・男性に分けて分析した結果、性別によって因子構成がはっきりと異なっていた。性描写と結びついて因子を構成するものが、女性で「やおい系・JUNE系」、男性で「萌え系・美少女系」となっているのは当然の結果であるが、「ドラマティックな展開のある作品」と結びついて因子を構成するものが、女性では「内面描写の多い作品」であるのに対して、男性では「ヒーローやヒロインの活躍する作品」であった。また、女性では「癒してくれる作品」と「生活感のある作品」は同一の因子を構成するのに対して、男性では独立であった。既に1次分析で明らかになったように女性サークルと男性サークルでは規模や行動様式において大きな違いがあったが、作品内容の認知の仕方についても相違があると考えられる。 スタッフ参加者グループインタビュー調査と、コミックマーケット準備会代表米澤嘉博氏(2006年10月逝去)への聞き取り調査については、テープ起こしが完了しているので、内容について比較検討を行なった。ボランティアスタッフ個々人によって様々なコミックマーケットの捉え方があり、コミックマーケット準備会という組織がアモルフな性格を持っていることが明らかとなった。特に「文化運動としてのコミックマーケット」の捉え方については、世代間の差異も大きければ、古くからコミックマーケットを運営してきた同一世代内においても認識の違いが大きいということが解った。 以上のほか、サークル参加者調査の回収質問紙を画像データ化し保存する作業を行なった。
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