研究概要 |
本年度は日本・韓国双方のニュースサイトの状況を,ヒアリング調査を中心に整理し,さらに受け手であるインターネットの閲覧者に関する量的調査に取りかかっている. 日本では,既存の新聞社サイトに関しては,インターネットという情報技術が充分活かされておらず,ジャーナリズムの枠組みを大きく変容させるに至ってはいない.一方,既存の媒体に依らない独立系ニュースサイトは,編集体制,収益性において困難を抱えつつも,マスメディアへのオルタナティブとしての理念やインターネットというメディア特性に適合した運営モデルを存在意義として認識している.また,個人が運営するニュースリンクサイトの展開は,ニュースソースはマスメディアサイトに依存しつつも,報道機関独自のニュース価値にとらわれず,個人の主観でニュースを再解釈している. 韓国のメディア状況については,先行して韓国のジャーナリズム専門家からのレクチャーを受けたうえで,新聞社ニュースサイト部門と独立系ニュースサイトを,それぞれ2社ずつヒアリング調査した.韓国では「政治」が非常に身近なイシューであり,政治をめぐる情報や意見交換への意欲が旺盛である.また,インターネット普及も格段に進んでおり,こうした状況がメディア展開にも影響を与えている.韓国の新聞メディアは,ニュースサイトを子会社化し,そのサイトは報道メディアに限らず,インターネット環境に適合すべく,様々なサービスを提供するポータル化を模索している.一方,独立系のニュースサイトは,広告収入を軸にビジネスモデルが確立しており,通信社の一般ニュースを含む総合的なニュースメディアとして着実な成果を挙げている. 受け手研究では,サイト閲覧者のインタビューから,ニュース情報に接したときの3つの受容モードという仮説を構築した.これに基づき,インターネットの閲覧者に関する量的調査を行った.次年度にはこの結果の精査を行う予定である.
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