研究課題/領域番号 |
16330115
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
青木 紀 北海道大学, 大学院教育学研究科, 教授 (80125484)
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研究分担者 |
杉村 宏 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (20113574)
松本 伊智朗 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (20199863)
岩田 美香 北海道大学, 大学院教育学研究科, 助教授 (30305924)
青木 デボラ 北星学園大学, 短期大学部, 教授 (90310101)
藤原 里佐 北星学園大学, 短期大学部, 助教授 (80341684)
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キーワード | 貧困観 / 生活保護 / 社会福祉 / 社会保障 / アメリカ / 国際研究者交流 |
研究概要 |
1.前年度実施した大規模アンケート調査結果から得られた問題意識を基礎に、予定通り2006年9月に東京・法政大学において2日間に渡る日米貧困シンポジウムを開催した。シンポジウムの共通認識として、貧困観研究から得られた相対的貧困イメージの具体的な押し出しが求められていることを意識し、日本側からは科研費メンバーとそれ以外の研究者、実践家、ジャーナリストなど11人が報告し、アメリカ側からは4人の研究者の報告があった。この成果は早速まとめられ、2007年2月『現代の貧困と不平等-日本・アメリカの現実と反貧困戦略』(明石書店)として出版した。 2.勤労者の中核を占めている労働組合員を対象に、昨年に引き続いて貧困観アンケート調査を実施した。具体的には連合北海道を構成している1500名の組合員に配布し、844の有効票を回収し、分析した。結果は、労働組合員であることの影響を予想していたものの、実際は昨年の民生委員、学生などのそれと大きな差異は見られなかった。もちろん、貧困の要因をめぐる社会的理解は民生委員などより高く、また生活保護制度の権利的な理解も高いが、「貧困」という言葉に対する違和感は同じ感覚を持っていたことが確認された。なお、貧困からの脱出に関する他者のよる援助や国などへの期待あるいは信頼感は薄く、深刻な「個人化」の影響が感じられた。今後はさらに、このあたりの感覚や認識をインタビュー手法で確認していきたい。 3.加えて全国32の母子生活支援施設利用者577人にアンケートを配布し、204票を回収した。これは、こちらが「貧困にある当事者」(と仮定し)に行ったものであった。しかしこの場合も、これまでの貧困観アンケート調査で確認された結果が、同じように浸透していることが全体として確認された。また、これ以外に、アンケートではないが、様々な立場の人々にインタビュー調査が試みた。さらにアメリカなどの貧困観に関するデータも収集し、分析した。
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