研究課題
1.19年度の具体的作業は、一般市民インタビュー調査(大阪、京都、神戸、東京在住計12名)、身体障害当事者及び知的障害者家族インタビュー調査(札幌、東京在住計7名)、母子生活支援施設職員アンケート調査(3地域26施設、215名対象、165名回答)及び施設職員インタビュー調査などを行った。研究会を主として札幌にて数回開催した。それらの成果は、日本社会福祉学会における自主企画シンポジウム「現代日本の貧困観に関する実証的研究(2)-アメリカにおける研究との対比の中で-」において青木、岩田、藤原が松本の司会によって報告された。また、関連する論文や報告が『教育福祉研究』第14号(2008年)などに公表された。さらに、関連するデータが新聞記事・雑誌等でもしばしば紹介された。2.インタビュー調査などを入れ込んだ報告や、本成果の最終的な出版までには今少し時間が必要だが、対象となる市民や関係者の貧困観(主観的現実)の分析からより明確になったのは以下の点である。(1)「貧困」がイメージする嫌悪感は強い。(2)貧困に対する社会的責任と個人的責任の「両義的性格」が明らかとなったが、人びとにそのことが意識されているわけではない。(3)今後の日本社会のあり方と関連して人びとに貧困問題が想像されることは少ない。(4)障害者やその家族の貧困(観)は現実的な問題として意識されてきている。(5)「貧困にある」当事者の貧困意識は「貧困にはない」人びとと比べると、具体的である。(6)援助者においては、個人責任説で貧困をとらえる姿勢が強く、連合労働組合員では社会責任説が強い。(7)しかし、「社会責任説」は知識にとどまり、多くの人びとが「貧困からの脱出」には自分と家族しか頼れないとしている。なおこのほかの貧困観の特徴は前年度実績を参照のこと。
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教育福祉研究 14号
ページ: 27-42
ページ: 43-54
ページ: 69-80