研究課題/領域番号 |
16330115
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会福祉学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
青木 紀 北海道大学, 大学院・教育学研究院, 教授 (80125484)
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研究分担者 |
杉村 宏 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (20113574)
松本 伊智朗 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (20199863)
岩田 美香 北海道大学, 大学院・教育学研究院, 准教授 (30305924)
藤原 里佐 北星学園大学, 短期大学部, 准教授 (80341684)
青木 デボラ 北星学園大学, 短期大学部, 教授 (90310101)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2007
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キーワード | 貧困観 / 貧困 / 生活保護 / 社会福祉 / 社会保障 |
研究概要 |
1.本研究は2004年から2007年にかけて行われた。アンケート回答者は合計4052人(民生委員関係、母子生活支援員、地域住民、労働組合員、大学生、専門学校生:北海道及び東京在住)であった。またインタビュー対象者は30人(北海道、東京、大阪、神戸、京都在住)であった。 2.2004〜2005年の分析を通じて、調査者と被調査者との貧困観をめぐるギャップの大きさ、すなわち、一般には貧困の相対的視点はほとんど欠落し、貧困のイメージは途上国や戦災国のそれに結びつけられていることが明らがとなった。ホームレスの人びとも生活保護受給者も「貧困にない」という意見が過半数を占めていた。 3.上記を除いて、2006年以降、さらにより明確になってきたのは以下の諸点である。(1)「貧困」がイメージする嫌悪感は強いが、それは貧困の個人責任説と関連しでいる。(2)貧困に対する社会的責任と個人的責任の「両義的性格」が明らかとなったが、人びとにそのことが意識されているわけではない。(3)貧困が今後の日本社会のあり方と関連して人びとに想像されることは少ない。(4)障害者(家族)の貧困観は、現実的に貧困に陥るおそれの意識から影響を受けてきている。(5)貧困にある当事者の意識は貧困にはない人びとと比べると具体的である。(6)援助者における貧困観は上記の「両義的性格」からすると個人責任説で貧困をとらえる姿勢が強く、労働組合員では社会責任説が強い。(7)しかし、貧困から抜け出すという仮定をたずねた場合、国や関連組織あるいは地域社会を意味する「社会」への信頼は低く、信頼できるのは個人と家族であるとする意見が多い。 4.貧困問題に取り組むためには、これから得られた材料を利用した議論や対話を組織化することが重要である。
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