虐待があって児童養護施設に入所した子どもと家族との再統合を目指した援助のあり方についてソーシャルワークの視点から検討を加えることを目的として、初年度は3点に取り組んだ。 1.数日間の帰省や家庭復帰の是非を判断する際に児童養護施設職員はどのような事項を考慮しているか探索的に調べるため自由記述の質問紙調査を実施した。結果、親については帰省や家庭復帰をさせたいとの希望の強さよりも、心身の健康、住環境や経済など家庭状況、児童相談所や施設との関係等生活実態を考慮している。子どもに関しては帰省や家庭復帰への希望、親に対する気持ち、親と関わった後の子どもの変化等を考慮している。家庭復帰の可否を判断する際には、帰省の判断に比べて親の家庭状況がより重視され、子ども自身の希望や親への気持ちをさらに重視し、虐待から身を守れる力が付いたかも考慮している。また周囲のサポートの有無がいっそう重視されている。今回の調査は回答者15名であり予備調査としての位置づけである。次年度、職員の判断過程をより詳細に分析するため面接調査と量的調査を実施する。 2.オーストラリア・ビクトリア州メルボルン市郊外の民間機関およびメルボルン市内にある児童保護担当政府部局を訪問した。第一に、1990年代後半に児童虐待が重度化した家庭への短期集中型サービスに公的資金を集約されたのに対し、現在は予防的サービスや虐待の再発防止に力点が置かれ、長期型のサービスが見直されている。家族再統合や再発防止に民間機関が重要な役割を果たしている。行政部局では、1990年代後半に開発したリスクアセスメントモデルを高度化して使っているが、複雑で使いにくい面もあり賛否両論ある。 3.上記の論点を分析するのに必要な文献を収集した。特に、オーストラリアの子ども家庭福祉に関する専門誌・専門書の収集に努めた。
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