研究課題
基盤研究(B)
虐待があって児童養護施設に入所した子どもと家族との再統合を目指した支援のあり方についてソーシャルワークの視点から検討を加えることを目的として、8か所の児童養護施設で、家族支援の責任を担っている職員13名(施設長5名、家庭支援専門相談員5名、主任職員2名、保育士1名)の協力を得て半構造化面接を実施した。職員は、面会や帰泊、家庭復帰の可否を判断する際に、親子関係、保護者の心の健康、家族の生活環境、公的および私的なサポートに注目していた。親子関係や生活環境などの改善を保護者に任せる従来の援助方法に代わり、施設が積極的に援助しようとしている。また、家庭環境が万全に整うまで長期に施設で子育てをするのでなく、課題があっても子どもを家庭に帰して地域に支援体制を作る考え方へと変化している。保護者が施設に気軽に足を運べるように、指導や教育を前面に出すのではなく、保護者を一人の人として大切にして、ほっとできるように迎えている。事務室での面接よりも日常的なあいさつや立ち話を援助の機会として活用し、保護者の立場を理解し尊重した伝え方を心掛けている。経験を通して、社会一般の「虐待する親」というイメージとは異なる保護者理解や家族理解が児童養護施設職員の間に形成されてきている。効果的な援助方法の具体例も蓄積され、児童養護施設における家族支援の方法論の体系化が可能な時期に差しかかっている。他に、家族再統合の可否を判断する際に使用可能なリスクアセスメント・モデルを構築するため、オーストラリアのビクトリア州で開発されたリスクアセスメントの使用状況について調べた。また、子ども虐待の概念について社会構築主義の視点から検討した。家族支援の方法論として、解決志向アプローチ、安全のサイン・アプローチ、ナラティヴ・セラピーの考え方を整理した。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
社会福祉論叢 2005年度版
ページ: 142-151
Studies in Social Welfare, 2005
家族療法研究 22卷3号
ページ: 259-264
社会福祉論叢 2004年度版
ページ: 62-80
Japanese Journal of Family Therapy vol.22 no.3
Studies in Social Welfare, 2004