研究概要 |
昨年実施の韓国に続き、日本32名、中国・大連80名の男女の顔の写真、ビデオ撮影を行った(男女大学生を対象)。併せて、各人の社会的スキル尺度(ACT, KiSS18等)を実施した。中性表情、基本感情(快;喜び、不快;怒り)による表情条件にて撮影し、この際、コミュニケーション特徴を詳細に把握するために、顔形態測定デジタイザ装置を用いた.この撮影により、顔面表情の測定、および、顔形態特徴を立体的に計測する資料を得た。この結果については、分析中である.連して、化粧条件下における顔面表情の表出、顔面皮膚温度の測定をも行った. また、昨年得られた韓国の男女大学生84名についての測定結果について、人体計測法に基づく32の計測指標を用いて検討したところ,男女間には多数の指標で有意差が認められた.また,幸福条件では上下左右の伸展的変化が見られ,怒り条件では縮小する変化があった.なお,真顔時には目のサイズが最大であった.形態指標の構造としては,感情条件に共通して,顔の縦特徴や中顔部の指標を示す主成分と目,口唇部の主成分が示された.3次元計測法は,従来の評価法よりも顔の形態特徴を正確に捉えることができ,応用可能なことが示唆された. さらに、各表情の顔形態特徴と社会的スキルとの関連を調べた結果,スキル得点が高いと,口や顎周辺と,目や眉毛周辺という顔の上下部位の表情が豊かであるということが示された.男女別の検討では,スキル得点の高い男性は,口や顎周辺の表情が豊かであり,スキル得点の高い女性は,目の表情が豊かであることが示された.また,社会的スキルの判別分析では,男性の方が女性よりも表現力の識別には多くの顔形態部位が必要であり,また,男女共に目の周辺や顎,口の周辺の表情が重要であることが明らかとなった.さらに,目の周辺や鼻,眉の動かし方が豊かであると,基本的なスキルが高いことも明らかとなった.
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