研究概要 |
本年度は、次に述べるように、教師にとっての個人内資源(1,2班)、学校内資源(3,4班)、学校外資源(5班)活用に分けて研究体制を組み、教師のエンパワーメント向上に関して、下記のような成果を得た。 第1班では、学級経営に関する教師の個人内資源について明らかにするために、小教師10名、中教師1名の教師に対する聞き取り面接調査を行った。その結果、学級づくりにおいて、新たな要素に子どもから学ぶ姿勢、他教師や保護者との連携、特別支援が必要な子ども理解、教師自身の特技の活用等の要因が抽出された。 第2班では、学校職場の改善課題の指標となる「役割葛藤」と教師個人の改善課題となる「キャリア適応力」の2側面から教師の精神的健康の向上を目指し、小・中・高教師3000人を対象に調査を行った。 第3班では、小・中・高の教師を対象に、教師集団の効力感を測定するための尺度を作成した。因子分析を行った結果,三因子構造が見出された。さらに,教師集団の認知をもとにした教師集団効力感と従来からの教師個々の認知をもとにした組織コミットメントの関係について検討した結果,両者の認知的な構造の違いが明らかになり,集団認知よる教師の集団効力感の独自性が認められた。教師集団の効力感認知の高い教師ほど組織コミットメントも高いことが明らかになった。 第4班では、小・中・高教師約300人において、生徒との関わりにくさと職場の雰囲気が教師効力感に与える影響に関して、生徒理解の困難が低く、協働的雰囲気が高いほど、教師効力感が高いという結果が得られた。また、上司・同僚からのサポートが職場の対人関係における教師効力感に影響を与え、その効力感が脱人格化および個人的達成感に影響を与えるパスが明らかとなった。 第5班では、小中学校教師400人を対象に、教科指導,生徒指導,校務分掌上の仕事において,学校外諸資源からの支援や協力の度合いを調査した。教師の視点から見た学校外資源の大まかな分類と教師自身の学校外資源活用の意義等との関連が明らかになった。
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