研究課題/領域番号 |
16330129
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鄭 仁豪 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (80265529)
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研究分担者 |
四日市 章 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (20230823)
中山 哲志 東京成徳大学, 人文学部, 教授 (80327262)
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キーワード | 聴覚障害児 / 眼球運動 / 算数文章題 / 図形参照率 / 情報処理法略 / 視覚的情報 |
研究概要 |
平成16年度は、健聴学生と同等の読書力を有する先天性聴覚障害学生の視覚的イメージ情報活用の特性を明らかにするために、図形を含む算数文章題を処理する過程を眼球運動を指標からとらえ、健聴学生との比較を通して、検討した。 被験者は、聾学校小学部3・4年生7名、5-6年生6名、中学部1-2年生12名と、一般の小学校3-4年生8名、5-6年生9名、中学校1-2年生12名の計54名であった。これらの聴覚障害学生は、平均聴力レベル91-130dBの学年相当の読書力を有する先天性聴覚障害であった。健聴学生は学年相当の読書力を有していた。算数文章題は、文章と図形からなる小学校1〜6年生の難易度別の6題であった。被験者には、なるべく早く文章題を解くように教示が与えられ、そのときの眼球運動が測定された。眼球運動は、非接触型眼球運動装置TalkEyeII(竹井機器工業株式会社)を用いて、問題解決時間(文章読み時間と図形参照時間)、停留時間、停留点の数、図形参照頻度、文章読みのスパン及び算数文章題の正解率が測定された。 その結果、正解率における聴覚障害学生と健聴学生との違いはなかった。しかしながら、聴覚障害学生は、健聴学生に比べて、文章題の読みでは、停留が多く、停留時間が長い、文章題読みのスパンが短い、反復読みが多いこと、図形の参照では、参照時間には差がないが、参照回数が多いことが明らかになった。また、このような違いは、難易度の高い問題でより顕著に示された。 このことから、読書力の高い聴覚障害学生は、文章題の読みにおいて、文章を細かく読みながら理解を進めており、その過程で、図形を多く参照するといった、健聴学生とは異なる方略を用いることが示唆された。
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