20分以下の午後の仮眠が、日中の眠気や居眠り事故の防止だけでなく、夜勤中の居眠り事故防止にも効果的であるかどうかを確かめた。9名の実験参加者(平均22.3才)が、仮眠条件と仮眠なし条件の両条件に参加し、午前0時〜8時までの8時間、20分ごとに10分間のテストを繰り返して行った。テスト内容は、眠気・疲労の測定(1分間)、開眼時の脳波測定(1分間)、四選択反応時間課題(4分間)、時計型ヴィジランス課題(4分間)であった。午前2時から20分間、仮眠または休憩をとった。 20分間中の仮眠時間は、16.3分であった。仮眠からの起床直後には、眠気や疲労の増加は認められなかったことから、今回の仮眠は、起床後の眠気(睡眠慣性)を生じさせることがなかった。仮眠をとらなかった場合は、テスト終了に向けて眠気や疲労が増加し、作業成績も低下した。これに対して仮眠をとった場合には、眠気や疲労が仮眠後3時間抑えられ、作業成績の低下も2時間、有意に抑えることができた。開眼脳波から覚醒レベルを算出すると、仮眠をとった場合には、仮眠後5時間にわたり覚醒度が維持されることがわかった。 以上の結果から、夜勤中の午前2時に20分間の短時間仮眠をとることにより、1)起床後の睡眠慣性が少なく、仮眠からスムーズに覚醒できること、2)起床後3時間にわたって眠気や疲労を抑えることができること、3)夜勤中における作業成績の低下を2時間抑えることができることが明らかとなった。ただし、この仮眠では、4)午前6〜8時における疲労や眠気、作業成績の低下を抑えるまでには至らなかった。この対処策については、今後更なる検討が必要である。
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