研究課題
基盤研究(B)
平成16〜18年度に実施した聞き取り・アンケート・訪問調査の結果をもとに、異なるスニックグループの教育実態・教育ニーズと外国人教育施策にどのような合致/齟酷が見られるのかを検証した。まず、外国人児童生徒が直面する問題に対応する施策としては、日本語学習、教科学習支援、地域交流、進路選択、防災教育などがあげられる。これらの施策のなかには、情報紙やガイドブック等が多言語で提供しているものが少なくはなく、その広がりが注目された。しかし、こうした情報提供の対象となる外国人児童生徒あるいはその保護者は、その存在に感謝しつつも、内容の理解に混乱しているケースが少なからず存在していた。その混乱の解決には、出身国の制度の違いや慣例・習慣等を念頭においたうえでの「わかりやすさ」についての、十分な配慮が必要であることが判明した。また、いわゆるニューカマーが集住する地域では、「外国人」=「南米系日系人」ととらえられる傾向がみられた。しかし、本調査の一環で実施した伊勢崎市での防災意識と防災教育を事例に、同じ南米日系人間にも母国での生活体験や生活意識に違いがあり、その差異を念頭にいれた教育施策が必要であることがわかった。以上のことから、これまでは不問に付されていた「外国人教育施策」の前提、すなわち、その施策で構想されている「外国人」の国籍はどのような国籍を想定し、その外国人の「実態」はどのようなものであるしているのかを検証する必要性、および、その施策の効果の検証を、実際には多様な「外国人」のなかの、誰にどのような効果がもたらされているのかという視点で行う必要性が導き出された。
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