研究概要 |
就学前(2歳〜6歳)の自閉症児、広汎性発達障害児12名程度を対象とし、(1)発達検査(K式発達検査,デンバー発達検査)、(3)適応行動検査(バインランド適応行動検査)、(4)言語検査(絵画語彙)、(5)自閉性障害検査(PEP-R, CARS)などの各種検査をベンチマークテストとして実施した。早期支援は,はじめに単位時間あたりの学習機会(learn unit)を最大するような「離散試行型集中指導法」によって行動レパートリーを確立し,次に自然な環境での学習機会をつくるための「機会利用型指導法」によって,獲得された行動の日常場面での般化を促進する手続きを用いた。(1)共同注意の獲得:(1)他者との安定した対人的相互作用,(2)アイコンタクト,(3)要求場面での追随視と指さしの理解,(4)要求場面,叙述場面での参照視と指さしの表出を指導した。(2)喃語を含む音声反応の獲得:遊び場面など子どもの動機づけが高くなる場面を設定し,逆模倣を用いた。(3)模倣の獲得:「動作模倣」、「操作の模倣」、「行動連鎖の模倣」、「自己に向かう行動の模倣」「表情の模倣」、「音声模倣(音素/韻律)」を指導した。(4)言語理解の支援:見本刺激である音声(音素,韻律情報)に対して絵や実物の選択反応,対応した活動が行えるよう支援した。(5)言語表出の支援:無発語段階の子どもは音声模倣から1語発話、1語発話段階の子どもは2語発話への移行を進めた。(6)家庭への移行:両親に課題を実施してもらい、結果を記録してもらった。プログラムの適用については,(1)週1回の専門家による集中指導,(2)家庭での専門家による集中指導,(3)親によるプログラムの実施,などを実施した。その結果、全ての自閉症児で、各ターゲット行動の学習がなされた。また、12名中10名で発達水準の向上が示された。2名については、視覚刺激を用いたコミュニケーション手段を適用した結果、音声模倣が成立した。
|