研究概要 |
今年度は,国内6各自治体(東京都,千葉県,三重県,京都市,大阪府,広島県)での学校評価導入状況と学校評価システムの具体,学校評価に関する研修の実施状況等について実地調査と協議会での聞き取り調査を実施した。また,英国(ロンドン市)と米国(ネブラスカ州リンカン市,コロラド州デンバー市)における学校評価システムの具体と課題について実地調査を実施し,学習状況の評価に関する資料,教師や校長の職務評価の試案等の資料を入手した。 学校評価導入の背景は各自治体で異なっており,学校運営の正常化を意図する動きが色濃くある自治体,開かれた学校づくりから保護者との信頼関係づくりに重点を置いた自治体,等があった。また学校経営と学校評価の関係を軸とする学校評価システムの在り方について検討し,以下のことが明らかになった。 (1)養護学校では,公立の小・中学校に比して広大なエリアが通学圏となっており,外部評価としての地域による評価の実施に困難が生じている。対応策として,学校評議委員制度等により,地域との関係の構築が試みられている。 (2)養護学校では,学習状況の評価として個別の指導計画による指導と評価が用いられており,小・中学校の学習状況の評価と異なる点である。 (3)養護学校は校内での協働組織づくりが不可欠であり,今後,学校マネジメントの観点から組織機能の評価が重要な位置を占めていくことが予想される。 (4)協働組織づくりのためのマネージャーの育成への必要感が高まっており,教育委員会や校長会によるコーチング,ファシリテーションの研修が実施されつつあった。
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