研究課題/領域番号 |
16330194
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
肥後 祥治 熊本大学, 教育学部, 助教授 (90251008)
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研究分担者 |
徳永 豊 国立特殊教育総合研究所, 企画部, 統括主任研究員 (30217492)
斎藤 宇開 国立特殊教育総合研究所, 教育支援研究部, 研究員 (20360745)
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キーワード | 学校評価 / 学校マネージメント / 養護学校 / 特別支援教育 |
研究概要 |
平成16年度から平成17年度に収集した情報の整理と分析を中心に本年度の研究を進めてきた。分析に用いた方法論は、イギリスとアメリカ及び日本における学校評価のシステムと学校マネージメントシステムの背景を分析し、その実際の在り方を比較する比較教育学的手法と、日本の養護学校や地方特殊教育行政機関の事例研究であった。 イギリスの学校評価システムや学校マネージメントに大きな影響を与えてきたものは、サッチャー政権下に成立した「1988年教育改革法」に始まる一連の改正教育法である。これらの教育法改正の結果、イギリスにおいては、教育水準監査院が誕生し1993年から、小・中学校において学校監察が実施されるに至った。 アメリカの学校評価の問題は、この国が抱える公教育の成果に対する国民の不満を背景とする公教育改革運動にその根拠を探すことができる。憲法上、州に教育政策の実権が保証されことや、教育費の7割が州の税金によってまかなわれるという状況から、教育コストに対する説明責任を考え方が早くから導入されていた。このような背景の下、ブッシュ政権下で「一人の子どもも置き去りにしない初等中等教育法」が成立し、州内、州間の学業成績の比較がかのうとなり、これらの評価が学校評価、学校区評価の材料となっていることが明らかとなった。 これら2カ国とは異なり日本においては、学校評価の根拠が省令の「小学校設置基準」、「中学校設置基準」等であり、平成18年3月にだされた「義務教育諸学校における学校評価ガイドライン」によって具体的な方向性が示されるに至っている。ただ現状では、評価の結果とそれに基づく学校支援や改善の方向に関して法的な拘束が、先の2カ国と比較すると曖昧であることも明らかとなった。これらの3カ国を見ると実施にいたる背景、実施方法、法的拘束力は相違点の方が多く、学校評価の在り方も大きく異なっているといえよう。 日本国内の評価システムや学校マネージメントの取り組みは、非常に多様であることも今回の研究で明らかとなり、イギリス、アメリカにおけるそれよりもバリエーションが多いことが明どなったが、これらの様々の取組も現在進行中のものであり、今後追跡的な研究が必要であると思われた。
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