研究課題
基盤研究(B)
本研究の第一の目的は小林-Warren-Carterによって開発されてきた多結晶構造の形成と時間的変化を記述するモデル(KWCモデル)を2次元モデルから3次元モデルに拡張することである。本年度の研究計画では、その第一段階として、方位の方程式をSO(3)に値をとる特異拡散方程式として定式化することを目標としていた。まず、第一段階として低次元空間(1次元、2次元空間)で定義されたSO(3)に値をとる特異拡散方程式を構成し、その数値シミュレーションコードを開発した。この方程式は2次元モデルにおけるSO(2)に値をとる特異拡散方程式の直接の拡張となっている。ただしSO(3)は3次元の多様体であるため、次の2通りの表現法を採用し比較を行った。(1)局所座標(Rodrigues vector)による表現(2)9次元ユークリッド空間への埋め込みによる表現(1)ではモデル方程式は3変数の方程式になるが、非常に非線形性が強い形であるため、数値計算においてImpliscit schemeを構成することは困難である。このことは、特異拡散方程式のシミュレーションを行うには大きな障害となる。一方、(2)ではは9変数の方程式となるものの、線形の方程式に近い形でImplicit schemeを構成することができるので、我々は(2)を採用し、シミュレーションコードを作成した。予定では本年度は、方位の方程式の完成を目指し、フェーズフィールドとのカップリングは次年度以降に行なうことになっていたが、研究の進行が早くフェーズフィールドとのカップリングまで達成することができた。さらに3次元コードも小規模ではあるがほぼ完成しつつある。一方、予定していた結晶構造の対称性による同値関係の導入されたSO(3)に値をとる特異拡散方程式の構成は、思いのほか困難であり、次年度に持ち越された。
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