研究概要 |
組合せ論における様々な極値構造の研究をおこなったが、ここでは主なものを二つあげる。 一つめは、極値集合論における多重交差族の問題、特にErdos-Ko-Rado型の不等式について研究した。集合族の要素(ハイパーエッジ)を平面上の整数格子点を通る経路と対応させ、さらに経路の数えあげをランダムウォークを利用して評価する方法について詳しく研究した。この方法で、一般の集合族(non-uniform hypergraph)の重みつきのサイズを効率よく評価できるようになった。これをk点集合族のサイズ評価と結びつけることで、例えば、r重t交差族に関する基本的なErdos-Ko-Rado型不等式を証明した。さらにt点を固定しないt交差族や、t交差的Sperner族の最大サイズについても最善の不等式を得た。これらについてはFranklとの共同研究もおこなった。 二つめは、ハイパーグラフに拡張されたSzemeredi regularity Lemmaを用いるいわゆるregularity methodの応用について研究した。具体的には、Rodl, Schacht, Tenganとの共同研究で、ラムゼー理論における基本的な密度型定理(Gallai-Wittの定理の密度版など)を純粋に組合せ論的な方法で証明した。これらは今まではFurstenberg-KatznelsonによるErgodic theoryを用いる証明しか知られていなかったものである。またRodl, Schacht, Siggersとの共同研究により、uniform hypergraphのinteger packingをfractinal packingから高精度で近似する方法についても成果を得た。
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