研究分担者 |
中村 周 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (50183520)
吉田 朋広 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (90210707)
勘甚 裕一 金沢大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (50091674)
立澤 一哉 北海道大学, 大学院理学研究科, 助教授 (80227090)
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研究概要 |
本研究プロジェクトの主たるテーマは(マルチ)ウェーブレットフレームと調和解析である.代表者の新井はウェーブレットフレームならびにその視覚科学への応用について研究を行った.特に新井は視覚科学の研究に適した新しいウェーブレットフレームを構成した(S.Araiと共同).このウェーブレットフレームは人間の視覚系の計算論的なモデルの構成の基礎となりうるものである.これに加えて新井は画像処理への実用的応用の研究も計画した.さらに新井は色覚の計算論的モデルの構成もし,色に関する錯視の計算機シミュレーションも行った.錯視発生のメカニズムも研究した.特に新井は視覚の離散ウェーブレット解析の新しい一般的なスキームを提唱した.錯視はわれわれの視覚系がどのように視覚情報を処理しているかを解明するための鍵であると考えられている.この理由から100年以上前から錯視に関して多くの研究がなされてきた.今回の研究プログラムにおいて新井は初期視覚のウェーブレットフレームを用いた非線形モデルを構成し,ある種の錯視発生の数学的なメカニズムを解明した.詳しく言えば,新井は人間の脳のV1の機能をモデルにしたフィルタバンクを構成し,そしてそれを用いてわれわれの視覚系がどのように錯視を生み出すかを示す多くの計算機シミュレーションを行った.この研究によって,多くの錯視が数学的な統一的方法で説明することができるようになった.ある画像を新井が考案したシステムに入力し,もし錯視を伴った画像が出力されるならば,それがV1における情報処理によるものであると考えることができる.勘甚は直交関数系の調和解析の研究を行った.たとえば彼はチェザロ作用素のLpそしてHpでの有界性を証明した.中村は解析的波面集合の平滑化作用について研究を行った.吉田は確率微分方程式のサンプリング問題を研究した。立澤は荷重つき関数空間をウェーブレット解析の視点から研究した.
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