研究分担者 |
野海 正俊 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80164672)
若山 正人 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (40201149)
野村 隆昭 九州大学, 大学院数理学研究院, 教授 (30135511)
落合 啓之 名古屋大学, 大学院・多元数理学研究科, 助教授 (90214163)
伊藤 稔 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (60381141)
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研究概要 |
可換変数で既に知られている特殊函数,特殊多項式が非可換変数においても整合的な類似物を持っていることが観察されるが,それがどのような背後世界を形作っているかという問題について,とくに不変式と表現論の立場から,Lie環の普遍包絡環と微分作用素環を主な材料として考察することが,本研究の目的であった.これはdual pair理論とCapelli恒等式を導きの糸として非可換性を単なる一般化ではなく,具体的な問題として扱う点が主眼である.即ち,表現の行列要素として現われる古典的で典型的な特殊函数を,その成分を微分作用素として考えることによってCapelli恒等式等の解釈をなし,正しい一般化の方向を探るのである. これに関して数理解析研究所における研究会「Capelli恒等式の新局面」(2005.9.5_9.9)を主催し,多くの成果を得た.非可換版の不変式を扱う上で,必要な道具が揃ってきている現状と,超幾何微分方程式の解となる多項式がSL_2の形式的普遍被覆exp(sl_2)のGauss分解と密接に関係すること,及びその表現論的背景にはoscillator表現のテンソル積の実現というdual pairの基礎的事実があることが判り,次第に研究のプログラムが実現しつつあることが確認できた.また,Painleve方程式のBaecklund変換として現われる双有理変換もこの枠で捉えられることもわかる.このGauss分解は,上記のPainleve方程式のBaecklund変換とも密接に関係する.非可換性の意味からは,ソリトンの佐藤理論として知られる,無限次元Grassmann多様体での定式化が,dual pair理論と明快な関係をもつか否かは,興味があるところであるが,それについての手掛かりが,このようなところから得られる可能性がでてきたと言える.
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