研究分担者 |
野海 正俊 神戸大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80164672)
若山 正人 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (40201149)
落合 啓之 名古屋大学, 大学院・多元数理学研究科, 教授 (90214163)
伊藤 稔 鹿児島大学, 理学部, 准教授 (60381141)
菊地 克彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50283586)
|
研究概要 |
可換変数で知られている特殊函数,特殊多項式が,非可換変数の枠組みに於いても自然に現われるという背後世界の探求が本研究の目的であった.特に不変式論と表現論を,普遍包絡環と不変微分作用環の見地から,すなわち,Capelli問題とdual pairを中心に,具体的問題として扱うことで,単なる一般化ではなく,古典的な問題をも包括する新たな視点が得られる. これに関して,古典的な対称式のうち,基本対称式と完全斉次対称式を超えたものに対応する中心元を扱う新たな代数系(テンソル代数と無限対称群の或る種の融合)が分担者の伊藤稔によって提唱され,非常に有力な道具として非可換の記号的方法を支えることが判った. また,そのような非可換代数系は,可換な世界の恒等式の成立とも深く関係しているが,特に,完全斉次対称式は,その特殊化であるスターリング数と類似し,超幾何的側面を持っている.この一見,単なる一般化が,対称式という視点から,興味深い秩序をもたらしていることが次第にわかってきた. さらに,五角数定理の一般化を或る種統一する無限サイズの行列方程式の解として,この完全斉次対称式がかかわる.つまり,完全斉次対称式の満たす差分方程式が,この五角数定理に深く関係していることがわかった. そして,さらに驚くべきことに,五角数定理のこの系列の拡張は,q-超幾何級数の或る和公式および変換公式であることがわかってきた.これはこの年度の最後に,分担者が集まって開いた小研究集会において得られた成果である.
|