研究課題/領域番号 |
16340050
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松井 卓 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (50199733)
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研究分担者 |
田崎 秀一 早稲田大学, 大学院・理工学術院, 教授 (10260150)
廣川 真男 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70282788)
中屋敷 厚 九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (10237456)
植田 好道 九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (00314724)
廣島 文生 九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (00330358)
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キーワード | 作用素環 / ハーグ双対性 / split性 / エントロピー生成 / 量子スピン系 / 非平衡定常状態 |
研究概要 |
次の2つの項目の研究を主に行った。 (1)一次元量子スピン系のハーグの双対性定理の証明を行い、その応用を検討した。並進不変一次元量子スピン系の純粋基底状態で基底状態エネルギーとその上のスペクトルにギャップが存在するとき基底状態は右及び左半無限系の間でsplit性という統計的独立性が成立するかという事が長年未解決問題であったがハーグの双対性定理が証明されたことで、この予想が正しい事が判明した。この事実のためにはハーグの双対性定理だけでなく量子スピン系におけるフレーデンハーゲンのクラスター定理、及び純粋状態でフォンノイマン代数とその可換子でベルの不等式の成立することとsplit性が等価である事を使う。前者は2007年にB.Nachtergaele等が証明、後者はSummers-Wernerによって1987年に証明されていた。我々のハーグの双対性定理とこれらが合わさって、はじめてsplit性の証明は得られる。さらに類似の結果を非平衡定常状態へ応用することを検討した。その結果、相対可換子に対するハーグの双対性定理だけでは不十分であることが判明した。 この研究の流れから互いに可換な因子環の対に対して(状態に寄らない)ベル定数を新しく導入し、この不変量が最大値を取る時無限に多くの極大entangled qbitを無限に多く作り出す事が可能であることが分かった。 (2)量子系の非平衡定常状態でエントロピー生成に関しての極限定理を研究した。その結果、強い混合性条件の仮定のもとで単位時間辺りのエントロピー生成確率分布は平均エントロピー生成に値を持つディラック測度に収束することが判明した。 さらに同じ状況下で中心極限定理の成立を研究した。その結果、ガウス分布とは異なる分布への収束の可能性が判明した。
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