研究概要 |
1.固体金属中でのDD核融合反応の反応率 金属中での重陽子密度とDD反応の遮蔽エネルギーの相関を見るために、Re, PdCaO, PdRe等の金属薄膜中でのD(d.p)T反応の反応率を入射エネルギー10keV以下の領域で測定した。測定結果は、従来の我々の結果をほぼ再現し、重陽子の流動性が大きい程遮蔽エネルギーが大きくなる傾向を示した。 2.金属中でのD+D反応から放出される陽子(p)と三重陽子(t)の収量比(p/t)の精密測定 BeからAuまでの各種金属を対象にp/t収量比測定を行った。この物理量は金属中の重陽子密度とは独立に、運動学的条件でのみ規定されており、運動学からの予想と比較することにより金属中での重陽子の運動に関する情報が得られる。結果は、いずれの金属にたいしても、p/t比は単純な運動学からの予想とは大きく異なることを示した。データから重陽子の運動に関する詳細な情報を得るために、金属中での入射重陽子の減速過程を解析するモンテカルロ計算のプログラムを開発中である。 3.液体Liを標的とするLi+D核融合反応 液体Liを標的とした^<6.7>Li+D→α+^<4.5>He反応を測定するための真空槽を作製した。重陽子エネルギー20keVから100keV領域での反応率の予備的な測定が行われた。その際、重陽子ビーム照射中のビームスポットの温度の直接測定が可能となり、反応率の標的温度依存性に関するデータも得られた。予備的データからLiD反応の遮蔽エネルギーを求めたところ、液相での反応が固相の反応に比較して大きくなるという結果となった。このことは、(1)の標的の流動性が遮蔽エネルギーの大きさと相関を持つという結論とも矛盾しない。
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