研究課題/領域番号 |
16340065
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山下 了 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教授 (60272465)
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研究分担者 |
菅原 龍平 東京大学, 高エネルギー加速器研究機構・加速器研究施設, 教授 (20044761)
増澤 美佳 東京大学, 高エネルギー加速器研究機構・加速器研究施設, 助教授 (10290850)
駒宮 幸男 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (80126060)
佐貫 智行 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助手 (70323491)
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キーワード | 素粒子 / 加速器 / リニアコライダー / ナノメートル制御 / アラインメント / フィードバック / ピエゾ素子 / エネルギーフロンティア |
研究概要 |
平成18年度における本研究において、特許機器株式会社の製作による基台の制御システムを実際に構築した。この基台は下の台座に特殊なカムムーバー構造を持ち、その上部にナノメーター位置制御用のピエゾ素子を用いた台座をもつ新しい構造のものである。特許機器株式会社と東京大学から下部構造に関して特許の申請を行っている。ステンレス製の台座はこの構造により全体の位置の調整幅を数mm持たせた上で、ナノメートルでの高速フィードバックが可能な構造を持たせることに成功した。この実機を完成させたのちにPLCを用いた振動制御システムを構築した。このシステムは、振動を読み取るための静電容量型の変位計の信号をADCにて読み取り、その読み値を用いてピエゾ素子に与える電圧を演算し、その値をDACから出力し、アンプを経由して実際のピエゾ素子に振動を打ち消すための電圧を供給するものである。ピエゾ素子に与える電圧により静電容量計のノイズレベルであった10ナノメートルの精度での制御を実際に確認することができた。位置制御自体は電圧による制御の精度で決まっており、ナノメートルレベルでの位置制御、ピエゾ素子のヒステリシスの測定などもできている。高速フィードバックに関しては、実際に起震機により基台に振動を与え、それを打ち消すようにフィードバックをかけることで性能を評価した。この結果、1Hzで40ナノメートルの振動を与えたときの運用に成功した。ただし、いくつかの課題も見つかった。ひとつは、これ以上の高速フィードバックのためにはADCの値の読み取りからDAC出力までのデータ入出力における時間ロスを抑える必要があること、それから、大きな振幅をキャンセルするためにはピエゾ素子への電圧供給用アンプの増強が必要であることがあげられる。今回の研究により、新しい基台の構造をつくることができたことは大きな成果である。
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