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2006 年度 実績報告書

キセノンを用いた2重ベータ崩壊探索実験

研究課題

研究課題/領域番号 16340066
研究機関東京大学

研究代表者

森山 茂栄  東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (50313044)

研究分担者 小汐 由介  東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (80292960)
福田 善之  宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (40272520)
キーワード2重ベータ崩壊 / ニュートリノ / 液体キセノン / シンチレータ
研究概要

ニュートリノが出ない二重べータ崩壊を観測することにより、ニュートリノの性質(粒子と反粒子が同一のものであるかどうか)を決定するとともに、ニュートリノの絶対質量を測定することが期待されている。本研究の目的は、そのための基礎原理及び技術を開発することにある。本研究では、キセノンに含まれる136Xeが二重べ一タ崩壊可能な原子核であるとともに、液体キセノンが良いシンチレーターであることを利用する。特にバックグラウンドを低減するために、常温高圧の液体キセノンを透明な容器にいれ、特殊な光学系で測定することにより、感度の向上を図るものである。ここに含まれる研究開発は、(1)耐圧アクリル容器の開発、(2)波長変換材の開発、(3)常温液体キセノンの発光量測定、(4)ダブルフォーカス型検出器の開発、(5)バックグラウンドの見積もり、(6)プラスチックシンチレータを用いた容器の開発である。
本研究で最も重要であったのが、(2)の波長変換材および(3)の常温液体キセノンの発光量である。(1)については、アクリル容器からの水の放出が問題となるため、(2)で開発する波長変換材等の膜により保護することとなった。(2)については、興味ある一定の成果が得られた。ポリスチレンの母材に、TPB(テトラフェニルブタジエン)を4%混合させることで、49±4%の変換効率が得られた。この効率とは、液体キセノンの発光である175mmの真空紫外線が入射した場合に、可視光として放出される光子の数の比である。この変換は、液体キセノンの発光よりも早く、発光の信号の時定数は、液体キセノンの発光の時定数との違いは見られなかった。残念ながら、この波長変換材を液体キセノンにいれて測定した場合、波長変換材が液体キセノンにより浸食されることがわかり、効率として20%程度に下がってしまうことがわかった。アクリルの保護の役割や、長期安定性などを含めて、今後研究が必要である。(3)常温液体キセノンの発光量については、大変面白い結果が得られた。圧力5.57MPa、摂氏3度に診ける発光量と、圧力4.7MPa,摂氏一100度における発光量とを比較すると、前者が後者の1.01±0.03倍という結果が得られた。現在のところこの実験では、通常液体キセノンを使う状態である圧力0.1hPa,摂氏-100度の環境下での測定でないため、引き続き比較のための評価を行っているところである。しかし、常温高圧での液体キセノンの発光量を測定するのはこれまでに無かったため、重要な進展であることは間違いない。(4)については、装置を作成したところ、検出器内面の反射率が低いことがわかった。今後測定・改良を続けていく予定である。(5)、(6)については、(4)までの成果の延長上にあるため、今後の課題となった。

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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