研究概要 |
超高エネルギー宇宙線起源は、いまだ確立されるに至っていない。この問題に対する最も重要な情報の一つは、一次宇宙線の化学組成のエネルギー依存性である。我々は、これまでの研究で、南米ボリビア・チャカルタヤ山宇宙線研究所において、エネルギーが10^<15>eV以下の宇宙線に関してその化学組成を3つの異なる方法で測定し、それぞれ一致する結果を得た。それによれば、エネルギーの増加とともに、平均化学組成の原子番号の対数値が徐々に増加することが分かった。そこで、本研究では、さらにエネルギーが高い10^<16>eV以上の宇宙線の化学組成を決定することを目的とし、同じくチャカルタヤ山宇宙線研究所で空気シャワー観測を実施する。これには、既存の装置(シンチレーション検出器)の再配置を行う必要がある。そこで、本年度は、昨年度シミュレーション計算により決定した検出器配置場所に検出器を移動し,信号ケーブルと電源ケーブルの敷設を開始した。また,観測小屋を新たに建設し,一部既設の回路系の移動を開始した。これらの作業は平成18年3月までに終了する予定である。これらは,研究協力者である田島が現地に赴き,ボリビア国立サンアンドレス大学物理学研究所所長で現地研究協力者であるアルフォンソ・ベラルデ教授と一緒に作業を行った。残る準備は測定データ収集システム用ソフトの開発であるが,これも,垣本,吉井,古畠(東工大M2)によって,完成させた。これは,平成18年5月より,現地でテスト実験を予定している。 以上の経過は,平成17年9月と平成18年3月の日本物理学会にて口頭発表し,また,発表予定である。
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