研究課題/領域番号 |
16340071
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
九後 太一 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (00115833)
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研究分担者 |
柳田 勉 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10125677)
坂東 昌子 愛知大学, 法学部, 教授 (20025365)
小林 達夫 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (60322153)
前川 展祐 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40273429)
谷本 盛光 新潟大学, 理学部, 教授 (90108366)
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キーワード | モノポール / Leptogenesis / 超重力理論 / ニュートリノ / 超弦理論 / 質量行列 / E6統一群 |
研究概要 |
九後は、N=2超対称ヤン・ミルズ理論のスピン1/2のモノポール粒子がgyroelectric比g=2の電気双極モーメントを持つことが、N=2超対称性を破るとどの程度ずれるのかを調べた。 柳田は、大カットオフ超重力理論仮説とLeptogenesisが矛盾しないことを明らかにした。この理論では、宇宙の温度が10^6 GeV程度で非熱的Leptogenesisが起こりグラヴィティーノ問題を回避できる。これは、大カットオフ超重力理論が比較的重い(1-10 TeV)グラヴィティーノを予言しているためである。 坂東は、ストリング理論とゲージ理論の対応関係を用いて、メゾンシステムのフレーバーによるポテンシャルの違いを調べ、フレーバーブレインの存在がどこで特徴を出すかを検討した。 谷本は、ニュートリノ質量行列が離散対称性の構造をもつことを現象論的に示し、その起源を高次元時空の位相幾何学構造にもとめ、現象論的に矛盾のないS3対称性をもったレプトンの質量行列モデルを構成することに成功した。また、質量が変化するニュートリノモデルとダークエネルギーの関係を詳細に検討し、超対称性を持つモデルに拡張することに成功した。 小林は、超弦理論の具体的な模型で、ゲージ結合や湯川結合などの低エネルギー有効理論の結合定数を与える、モジュライ場の真空期待値の決定機構を解析し、またその際現れる超対称性の破れの項について研究した。更に、弦理論から現実的な湯川行列を導く可能性についても調べた。 前川は、一つ目は、strong CP問題が異常U(1)理論では、かなり一般的に解ける、ということを示した。二つ目は、E6統一群+ホリゾンタル対称性模型の特徴的なsfemionの質量スペクトラムから、lepton flavor violation (τ→μγとμ→eγ)を計算し、現在計画されている実験で見つかる位の大きさであると予言した。 杉本は、昨年度提案した超弦理論を用いた量子色力学の解析法をさらに発展させ、パイオンとρメソンの間の結合の強さ、電磁場とメソンの結合の仕方、A1メソンやωメソンの崩壊幅など様々な物理量を超弦理論を用いて調べ、相互作用の構造や実験値を定量的にも良く再現することを示した。 これらの分担者達自身の研究活動の他、この研究計画の主な目的であった統一理論構築に向けた我が国の研究者の結集のための滞在型研究会として、2005年8月11日から18日までの8日間富士吉田の日経連富士研修所で第11回「Summer Institute 2005」を開催し、外国人15名を含め、延べ63名の参加を得た。
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