研究課題/領域番号 |
16340072
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
齊藤 直人 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20321763)
|
研究分担者 |
竹谷 篤 理化学研究所, 放射線研究室, 先任研究員 (30222095)
舟橋 春彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (00283581)
村上 哲也 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50219896)
與曽井 優 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80183995)
|
キーワード | スピン偏極 / 核子構造 / ハドロン物理 / 読み出し回路 / グルーオン / クォーク / 非対称度 / ウィークボゾン |
研究概要 |
偏極陽子衝突におけるW生成の研究に先立ち、主に3つの成果が上がった。まずは、本研究の主眼であるPHENIX実験におけるミューオン検出器の読み出し回路のプロトタイプの製作である。この回路をテストするにあたって、本実験で使われているのと全く同じチェンバーを製作した。これを上下からドリフトチェンバーで挟み、宇宙線によるシグナルをプロトタイプの回路で読み出すことで位置分解能を得た。本実験では、200-300ミクロンの分解能が得られているが、我々のプロトタイプでは、現状で400ミクロン程度であった。ノイズの影響や、ガスゲインが不十分であったことなどが考えられるが、原因を究明中である。平行して本実験と同様の読み出し回路での読み出しも準備できた。これから得られる位置分解能と比べることにより、我々が設計した読み出し回路の妥当な評価が出来るようになる。 一方で、W生成のスピン非対称度を測る準備も着々と進めている。まずは、ビーム偏極度測定の技術の確立である。偏極水素ガスジェット標的を用いて、陽子陽子弾性散乱の非対称度を求めた。標的の偏極を用いて求めた非対称度とビーム偏極を用いて求めた非対称度を比べることによりビーム偏極を正確に知ることが出来る。この実験は成功をおさめ、この分野で最も権威のある国際会議で発表した。(研究発表雑誌論文の2番目) また、実際にビーム偏極を用いて、中性パイオン生成の非対称度を求めてPhysical Review Letterに発表した。(研究発表 雑誌論文の1番目)この非対称度は陽子中のグルーオンの偏極度に敏感で、この測定は世界最高エネルギーで行うことで、他の手法を凌駕する可能性を示した。論文発表以降、更に高統計で得られた結果を上と同じ国際会議で発表した。(研究発表 雑誌論文の4番目)この発表では、本研究で得られた知見に基づき、W生成の非対称度測定により、核子のスピン構造の理解が飛躍的に向上することを示すことが出来た。 以上から、本研究課題を遂行するにあたり基礎技術をほぼ予定通り準備できたと言える。
|