研究課題
本研究で目的とする、重水素の光核分解の測定を行うため、以下の三種類の検出器を準備した。1)重水素化液体シンチレータ重水素光核分解反応のターゲットとして重水素化液体シンチレータ(D_6H_6)をアクティブターゲットとして用い以下に示す中性子検出器と同時計測をおこなう。これにより反応断面積が急激に小さくなる反応閾値近傍での光核分解反応からの中性子とバックグラウンドのS/N比の改善をおこなう。2)ロングカウンターロングカウンターはポリエチレン減速材と^3He比例計数管からなる。このカウンターは低い中性子エネルギー(約0.02MeV)から高いエネルギー(約5MeV)の広い範囲で中性子検出効率をほぼ一定に設計することができるという特徴をもつ。中性子輸送シミュレーションコードMCNPを用いエネルギーに依存しない平坦な検出効率を持つよう綿密な設計を行った。また検出器間の散乱によるバックグラウンドの算定、M1光吸収、E1光吸収の分離の分解能の評価をおこなった。これらのシミュレーション計算に基づき、4台の検出器を完成させ、中性子線源を用い性能評価を行った。18年度は、産業技術総合研所においてより正確に構成された中性子線源をもちい精度の高い校正をおこない、本実験をおこなう予定である。3)液体シンチレータより高い中性子のエネルギー領域(5MeV以上)では、液体シンチレータ(C_6H_6)を用いる。1)のアクティブターゲットとともに同時計測を行い中性子飛行時間を測定し中性子を弁別する。これらの結果から、18年度に予定されている本実験を遂行するに十分な性能があることがわかった。