研究課題/領域番号 |
16340082
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
澤田 真也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 大強度陽子加速器計画推進部, 助教授 (70311123)
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研究分担者 |
今里 純 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (40107686)
田中 万博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 大強度陽子加速器計画推進部, 教授 (90171743)
齊藤 直人 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 大強度陽子加速器計画推進部, 教授 (20321763)
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キーワード | 大強度陽子ビーム / 電子線 / 実験核物理 / 素粒子実験 / 加速器 / 偏向 / ビームライン / 結晶 |
研究概要 |
平成18年度は本研究の最終年度であり、以下の項目について研究を進めた。 (1)大強度化で不可欠となるビームライン要素技術の開発 前年度に、特に結晶によるビーム偏向法に焦点を当てて、この方法の原理を実証するための実験を、高エネルギー加速器研究機構12GeV陽子シンクロトロンおよび広島大学150MeV電子線周回装置で行った。今年度は、結果の詳しい解析を行った。12GeV陽子については、毎秒1012個の陽子ビームから毎秒10^7〜10^8個程度の陽子ビームを実際に分岐してみせることができた。加えて、分岐陽子ビーム強度の結晶と主ビーム問の角度への依存性から、陽子ビームの角度広がりを明らかに出来ることを示した。 (2)高運動量ビームラインの要求要件の精密化 大強度陽子加速器施設(J-PARC)での原子核素粒子実験に関する実験審査委員会に対して、高運動量ビームラインを用いる2つの実験のプロポーザルを提案した。これらの実験は、一方が毎秒10^<10>個程度、もう一方が毎秒10^<12>個程度の陽子ビームを用いる実験で、特に前者はサイズの小さいビームが要求される。結晶によるビーム偏向法は、毎秒10^<14>個というJ-PARCの主陽子ビームから毎秒10^<10>個程度の陽子ビームを分岐させるのに適していることに加え、ビームサイズが小さいという特徴を持つことから、特に前者の実験にうってつけであることを明らかにした。 (3)本補助金による研究のまとめ、および、次なる展開への準備 研究のまとめとして専門誌への論文発表や国際会議での発表を行うとともに、研究の経緯や結果を共同研究者の一人(広島大学Sergey Strokov君)が博士論文にまとめ、平成19年3月に博士号を得た。また、本研究で成果を得た結晶によるビーム偏向法について、J-PARCでの実現を目標とした具体的R&Dの計画を立て、科研費を含む予算要求を行っている。
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