平成17年度は、前年度の研究を継続して行う一方で、前年度に作製した角度分解型光検出装置を使ってナノホールや1次元および2次元表面構造に形成される表面プラズモンからの発光の放射角依存性を調べる実験を行った。この装置には偏光方向と波長とを選別する機能があるのでそれらを特定の値に設定することでプラズモンモードを選択できる。試料である単一ストライプ構造およびその周期構造は、文科省ナノ支援総合プロジェクトの技術代行により作製してもらった。今年度の研究成果を以下に示す。 1.ナノホールをもつ金属薄膜試料に対して放射角毎に角度分解した発光スペクトルや発光像の測定を行った。その結果を透過光スペクトルの角度依存の結果と比較して、光の異常透過現象における表面プラズモンの機構を検証した。 2.単一ストライプ構造ではストライプに平行に伝播するモードと垂直に伝播するモードに分けられ、さらに前者ではエッジモードと平面モードがあり、後者にはエッジを両端とする定在波モードがある。後者の定在波表面プラズモンモードを、発光のスペクトルマップから明らかにした。 3.1次元および2次元表面周期構造は回折格子として働くため単一ストライプ構造の場合とは異なるシャープなピークをもつ放射角依存性を示すはずであり、その測定を行った。結果は予想に反し、シャープな角度分布は見られなかった。また、周期構造内における切り立ったエッジからは局在表面プラズモンによると考えられる発光が高角領域に現れた。来年度も引き続きモード毎の変化を調べていく予定である。
|