平成18年度は、主にデータ解析と発光の性質の解明に力を入れた。単一ステップからの発光によってフォトンマップに生じる干渉縞コントラストの放射角度依存性を精密に調べた結果、コントラストの原因に遷移放射が関わっていることが明らかとなった。この解釈に基づいて以前の結果の見直しを行った。また、新たに以下の研究を行った。 1.金属フォトニック結晶 単一ストライプ構造および球状微粒子を2次元配列させた構造に続き、複雑な構造として3角柱をハニカム状に配列させた構造における表面プラズモンの性質を調べた。Γ点の定在波モードのエネルギーは微粒子配列の場合と異なることが分かった。 2.金属フォトニック結晶表面に平行に入射した電子線によるコヒーレント光放射 2次元配列した球状微粒子表面に平行に電子線を入射させてSmith-Purcell放射の測定を行った。発光スペクトルには鋭いピークが現れ、電子の進行方向の周期対応したピーク波長であること、ピーク位置は放射角に依存してシフトすることを確認した。さらに、未知の発光ピークが現れ、フォトニックバンドとの関係を調べている。 3.誘電体フォトニック結晶 Masegure教授から提供された逆オパール構造のフォトニック結晶を用いて電子線の入射側および出射側に放出された光のスペクトルを測定したところ、多数の発光ピークが観測された。フォトニックバンド構造との関係を調べ、バンドギャップに対応するスペクトルの谷があることを見出した。
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