研究課題
基盤研究(B)
本研究において透過型電子顕微鏡に搭載した光検出システムを用いて電子線励起発光法を開発してきた。この手法では、試料から放射される光の偏光方向を選んでスペクトルを測定し、特定の波長の光だけを使ってフォトンマップを観察できる。この手法は、金属表面に誘起される表面プラズモンを可視化できる。本研究では、光の波長以下の微細構造を持つ金属フォトニック結晶に生じる表面プラズモンをこの手法を用いて調べ、金属フォトニック結晶の示す新規な光学特性を探ると同時にその機構を明らかにすることを目的とした。従来のカソードルミネッセンス検出装置を改良し、放射スペクトルを高感度で検出するCCD検出器と集光ミラーを直接観察できるCCDカメラを設置した。また、新たに角度分解機能を備えた光検出装置の開発を行った。ナノホールをもつ金属薄膜や、金属表面の1次元および2次元ナノ構造に形成される表面プラズモンの性質を調べる実験を行った。1次元構造としては単一ストライプ構造およびその1次元周期構造を、2次元構造としては微粒子を六方格子および正方格子状に配列した試料を作製した。電子ビームで励起したとき放射スペクトルに発光ピークが現れるのを観測した。発光ピークは、局在した表面プラズモンの固有モード、または周期構造に特有の定在波モードと対応することが分かった。単一表面ステップの放射スペクトル像の放射角依存性の測定から、遷移放射と表面プラズモン放射との干渉効果がフォトンマップにおけるコントラストの重要な発生機構であることが明らかとなった。関連した研究として、フォトニック結晶からの放射、周期構造表面に平行に電子が入射するとき発生するSmith-Purcell放射の測定も行い、この手法による新たな知見が得られた。
すべて 2006 2004
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