研究課題
基盤研究(B)
ペロブスカイト酸化物YTiO_3は軌道整列現象を示し、かつ、30K以下で強磁性となる、という特異な物性を持つ。軌道整列ならびに磁性の源はTi-3d電子である。本研究の目的は、軌道整列系ペロブスカイトチタン酸化物YTiO_3の物性解明を、放射光X線の磁気的な回折・散乱を利用して行なうことである。実験手法は、楕円偏光放射光X線の磁気モーメントによる弾性散乱および非弾性散乱(X線磁気回折および磁気コンプトン散乱)を用いた。磁性電子の波動関数を、前者は逆格子空間(あるいはそのフーリエ空間である実空間)で観測し、後者は運動量空間で測定するものである。放射光X線により3d電子軌道を直接観測し、その基底状態を解明することが本研究の目標である。磁化困難軸方向では、磁化の飽和に2T超の磁場を要する。X線磁気回折・磁気コンプトン散乱では磁化の飽和が必須条件である。このため、X線磁気回折実験システムの高度化を行ない、2T超の磁場発生可能な大型磁石および高性能冷凍機を導入した。これにより、試料結晶を任意方向で磁化飽和させたX線磁気回折実験が可能となった。X線磁気回折実験では以下の成果を得た。実験系の高度化により、全ての主軸を含む方向でスピン形状因子の測定が可能となった。これにより、3次元実空間でスピン密度分布をX線では初めて得ることに成功した。得られた密度分布は3d-t2g電子分布を非常によく再現するものであった。これは、恐らく、特定の3d電子軌道を3次元実空間において直接観測した初めての実験結果であろう。磁気コンプトン散乱実験では、軌道整列系強磁性体の磁気コンプトンプロファイルを初めて測定することに成功した。モデル波動関数を用いた計算プロファイルと実験プロファイルの比較により、d電子基底波動関数を決めることができた。本研究によりYTiO_3の整列電子軌道(基底は導関数)を、実空間および運度量空間において明らかにすることができた。
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