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2005 年度 実績報告書

遷移金属酸化物強相関電子系における軌道自由度が重要な量子物性の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16340102
研究機関名古屋大学

研究代表者

伊藤 正行  名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90176363)

研究分担者 木山 隆  名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20323389)
キーワード軌道自由度 / 量子物性 / 遷移金属酸化物 / 強相関電子系 / NMR
研究概要

3d遷移金属酸化物では、3d電子が持つスピン・電荷・軌道の3つの自由度が単独であるいは複合して多彩な量子物性を発現する。そのような自由度の中で、軌道自由度は、これまでスピンと電荷の自由度の裏に隠された第3の自由度と見なされて来た。しかし、最近、この自由度の重要性が強く認識されるようになってきた。軌道自由度が長距離秩序を生じた軌道秩序は、新しい自由度が持つ1つの相として注目されている。また、t_<2g>^1電子系では、量子揺らぎが大きく、軌道秩序にその揺らぎの効果が大きく現れることが期待される。さらに、軌道の自由度が物性を支配する系では、軌道自由度の役割と量子物性の解明が望まれている。
本年度は、特に、Lu_2V_2O_7とβ-Na_<0.33>V_2O_5をとりあげた。Lu_2V_2O_7は、パイロクロア型構造を持つキュリー温度73Kの強磁性体である。Vの周囲を取り囲む酸素八面体が作る結晶場によって、この系の軌道状態は決まっていると考えられる。我々は、Lu_2V_2O_7の単結晶試料を用いて、強磁性状態でのNMR実験を行った。特に、外部磁場を印加する方向を結晶軸に対して回転させ、NMRスペクトルの異方性を詳細に測定した。得られたNMRスペクトルは結晶場から期待される軌道秩序で説明することができ、この系では軌道揺らぎはないことを明らかにした。このことは、軌道揺らぎが重要であると考えられるYTiO_3と対照的である。また、β-Na_<0.33>V_2O_5の単結晶試料を用いて、軌道状態について調べた。その結果、d_<xy>的な波動関数の秩序化が起こり、この軌道秩序のために、電子構造としては、結晶構造から考えられる構造とは全く異なった3個のラダーが結合した擬1次元構造をとることが明らかになった。さらに、軌道自由度とスピン自由度が絡んだ量子物性が発現することが期待されるコバルト酸化物の研究も開始した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] NMR Study of the Orbital Ordering in Lu_2V_2O_72006

    • 著者名/発表者名
      T.Shiraoka, T.Kiyama, M.Itoh, L.Kano, H.Ichikawa, J.Akimitsu
    • 雑誌名

      Proceedings of the 24th International Conference on Low Temperature Physics (AIP Conference Proceedings) (印刷中)

  • [雑誌論文] NMR Study of the Metal-Insulator Transition in β-Na_<0.33>V_2O_52006

    • 著者名/発表者名
      T.Suzuki, I.Yamauchi, M.Itoh, T.Yamauchi, Y.Ueda
    • 雑誌名

      Proceedings of the 24th International Conference on Low Temperature Physics (AIP Conference Proceedings) (印刷中)

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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