研究概要 |
1.YbXCu_4は,X元素置換あるいは圧力をパラメータとしてKondo温度を系統的に変化させ,物性を制御できる数少ない系の1つである。(1)これ迄に,YbInCu_4が2.5GPaの圧力下で強磁性転移を示すことを見出していたが,本年度は,この磁気転移の機構と磁気構造をCu-,In-NMR/PQR測定により微視的な立場から研究し,その成果を報告した(論文3篇)。(2)YbCuCu_4は_〜3GPaの圧力印加により量子臨界点近傍にチューンできることを確認し,NMR/POR測定によりその電子・磁気状態の変化の研究を進めつっある。 2.Yb^<3+>,Sm^<2+>(f^<13>電子状態)イオンを構成要素とする少数キャリアー系化合物における重い電子状態,磁気秩序,四極子秩序などの形成のメカニズム解明を目的としている。(1)YbSbは,Yb^<3+>イオンの結晶場基底状態が四極子モーメントを持たないにもかかわらず,磁気秩序(0.3K)に加えて四極子秩序(5K)を起こしている可能性が指摘されていた。我々はSb-NMRに及ぼす同位体効果の研究により,5Kにおける相転移が,結晶場励起状態を介したmixing-typeの反強四極子秩序である明確な実験的証拠を与えた(論文1篇)。(2)TmTeは,0.4Kでの反強磁性秩序と1.6Kの四極子秩序に加えて,かなり高温の15K近傍でも物性異常を示すことが知られている。これまでにもTe-NMRによる微視的研究の報告があり,15K以下では信号が消失すると報告されていた。我々は,Te-NMRを1.4Kの低温まで検出することに成功し,結晶場分裂の大きさである〜10KでNMRデータに多くの異常なふるまいを検出し,現在,その原因を探求しているところである。
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