研究概要 |
Yb化合物の量子臨界点へのチューニングと電子磁気状態の解明: (1)価数遥動系YbInCu_4において,我々のこれまでの研究で発見した圧力誘起磁気秩序相を,2.5GPaの圧力下Cu-NQRおよびIn-NMRにより微視的な立場から研究し,その局在電子系の転移機構と磁気構造を明らかにした。また,YbInCu_4のP-T磁気相図を30GPaにおよぶ高圧力範囲まで確立した。 (2)重い電子系YbCuCu_4の量子臨界点が〜4GPa近傍にあることを明らかにするとともに,圧力印加に伴う電子磁気状態の変化をNMR/NQR測定により解明を進めつつある。 (3)強相関電子系である充填スクッテルダイト化合物YbFe_4P_<12>の^<31>P-NMRにより,この系が量子臨界点近傍の非フェルミ液体状態にあることを見出し,その物性の本質の解明を進めつつある。 Yb^<3+>,Tm^<2+>,およびSm^<2+>イオンの多電子状態における軌道とスピンの自由度の研究: (1)TmTeは,0.4Kでの反強磁性秩序と1.6Kの四極子秩序に加えて,高温の15K近傍でも物性異常を示す。15K以下の低温度域で^<125>Te-NMRの検出に初めて成功し,Tmモーメントが短距離の秩序配向していることを明らかにした。また,TmTeのように結晶場分裂が小さい系の物理を理解するには,基底状態のみではなく励起状態を含むすべての多極子間相互作用を考慮する必要があることを指摘した。 (2)充填スクッテルダイト化合物SmFe_4P_<12>(重い電子状態と,強磁性秩序)およびSmRu_4P_<12>(金属-絶縁体転移を伴う多極子秩序と,低温でのさらなる転移)の^<31>P-NMR測定を行い,それぞれの転移の機構と秩序構造を微視的な立場から実験研究し,新たで重要な情報を蓄積しつつある。 上記の研究成果は逐次,関連する国際会議・国内開催の研究会・物理学会等で講演発表するとともに,原著論文として国際誌に掲載されつつある。
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