研究概要 |
(1)東北大学金属材料研究所強磁場超伝導材料研究センターと共同でベクターネットワークアナライザーと超伝導磁石を使った磁気光学測定装置用の回転式キャビティーを開発し,磁気光学測定の角度依存性を低温で高い精度で観測することが可能となった。これにより低次元有機導体のフェルミ面や超伝導ギャップの異方性を詳細に研究することが可能となった。この装置をもちいて低次元有機導体(DMET)_2I_3とβ"-(BEDT-TTF)(TCNQ)の詳細な測定をおこない,それぞれ擬一次元フェルミ面のワープ状態と非常に異方的な擬二次元フェルミ面の存在を明らかにすることに成功した。今後,フロリダ,タラハシーの強磁場施設における定常磁場測定の予備実験装置としての役割が期待される。 (2)本研究のねらいは物材機構の宇治らによって発見された二次元有機導体λ-(BETS)_2FeCl_4における磁場誘起超伝導の発現機構のてがかりをえるため超伝導ギャップを強磁場中で多周波ESR分光を用いて観測することにある。まず予備実験として神戸大学の光源とパルス磁場をもちいて二次元有機超伝導体κ-(BEDT-TTF)_2Cu(SCN)_4の多周波ESR分光をおこなった。より安定した結果がえられるよう装置に改良をくわえている。さらにオーストラリアで開催されたICSMに出席して,フロリダ,タラハシーの強磁場施設の共同研究者と情報交換をおこなうとともに,8月にタラハシーの強磁場施設を訪問し,定常磁場測定の現状を把握した。さらにフロリダ,タラハシーの強磁場施設の共同研究者が神戸大学を訪問し,測定の研究打ち合わせをおこなった。
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