研究概要 |
1)昨年,東北大学金属材料研究所強磁場超伝導材料研究センターと共同で開発したベクターネットワークアナライザーと超伝導磁石を使った磁気光学測定装置用の回転式キャビティーを使用して,β"-(BEDT-TTF)_2CsCd(SCN)_4の基底状態におけるフェルミ面を調べる目的で磁気光学測定を行った、1.5Kにおいて,6T以上の磁場領域では擬一次元,擬二次元フェルミ面の両方が存在し,6T以下では擬二次元フェルミ面のみの存在を示唆する結果を得た。このことは,この系の基底状態が擬一次元フェルミ面のネスティングによる密度波状態であり,6T以上の磁場によって密度波が破壊され金属状態が復活する事を示唆していると考えられる。 2)本研究のねらいは物材機構の宇治らによって発見された二次元有機導体λ-(BETS)_2FeCl_4における磁場誘起超伝導の発現機構のてがかりをえるため超伝導ギャップを強磁場中で多周波ESR分光を用いて観測することにある。そこで,2005年7月に湘南で開催されたISMC2005と9月にフロリダで開催されたISCOM2005において海外協力研究者のBrooks教授を含めた共同研究者間で会合をおこない試料の提供を受けるとともにフロリダでのマシンタイムなど打ち合わせをおこなった。そして,東北大学金属材料研究所強磁場超伝導材料研究センターの18T超伝導磁石とベクターネットワークアナライザーおよび回転式キャビティーを使用して予備実験を開始して実験条件をつめる作業を続けている。今のところ,2006年春にフロリダの25T定常磁石を使ったマシンタイムを予定している。
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