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2004 年度 実績報告書

ヘリウム液面電子による2次元ボース気体の量子相転移の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16340108
研究種目

基盤研究(B)

研究機関京都大学

研究代表者

新井 敏一  京都大学, 低温物質科学研究センター, 助手 (80333318)

研究分担者 矢山 英樹  九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (60166840)
キーワード2次元 / 原子状水素 / 超流動状態 / 2次元電子 / 電子付着 / スピン偏極 / 電気双極子
研究概要

本研究は、液体ヘリウム表面上に形成された2次元原子状水素気体の超流動状態を、同じ液面に共存させた2次元電子の移動度を使って研究することを目的としている。これまでに原子状水素と電子を共存させると水素原子への電子付着反応がおこるため密度の減少がおこり、系が不安定であることがわかっていた。平成16年度は電子付着反応のメカニズムを明らかにし、できるだけ反応がおこらなくなるような条件を見つけることに主眼をおいた研究を行い、水素原子と電子の2次元共存系を安定化することに成功した。以下、研究内容について述べる。
水素マイナスイオンのふたつの電子はスピンシングレットである。したがって強い磁場で水素原子の電子と液面電子のスピンを同じ向きにそろえると電子付着反応がおこりにくくなることが予想される。私たちはスピン偏極効果を調べるために電子付着反応速度の磁場依存性を最大11Tまで測定した。予想通り反応速度は磁場で抑制され、共存系の寿命を10000倍程度も長くすることができた。定量的な測定により、速度係数が磁場の2乗に反比例することがわかった。水素原子の超微細状態のうち電子スピンが反対を向いている成分を微少に含む固有状態が電子との反応に寄与しているというモデルで実験結果を説明できた。この成果をふたつの国際会議(QFS2004,ISSP-9)で公表した。
さらに電子と水素原子の相互作用を調べるために、磁場中の電子付着反応速度の温度依存性を測定した。速度係数が温度を下げると緩やかではあるが大きくなる珍しい反応であることがわかった。これをうまく説明するモデルを得るまでには至っていないが、電子の周りの電場が水素原子の電気双極子を誘起することが原因ではないかと考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Spin-polarization effect on electron attachment to atomic hydrogen on liquid helium surface

    • 著者名/発表者名
      T.Arai, T.Mitsui, H.Yayama
    • 雑誌名

      Journal of Low Temperature Physics (掲載予定)

  • [雑誌論文] Helium surface electron attachment to atomic hydrogen in applied magnetic field

    • 著者名/発表者名
      T.Arai, T.Mitsui, H.Yayama
    • 雑誌名

      Journal of Physics and Chemistry of Solids (掲載予定)

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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