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非平衡状態におけるダイナミックスでは時々刻々集団運動の生成と崩壊が起きている。このような状況の解析には定常状態を前提としたフーリエ成分の概念を用いた方法論は適していない。このような問題意識から、ウエーブレット多重解像度解析を用いた集団運動の特徴付けを試みた。強レーザー場と結合した分子集団運動を初め、非平衡非定常なダイナミックスには、多数の自由度が関与した集団運動と個別的な自由度による運動が存在する。集団的な運動は、個別的な自由度の運動に比べて、その特徴的な時間スケールが長いことが予想される。この予想に基付いて、或る自由度の時間発展から成る時系列に対してウエーブレット多重解像度解析を適用し、階層的な時間スケールに対応する運動を取り出す。ゆっくりした時間スケールに対応する運動は、比較的少数の変数で記述できる相空間構造を渡り歩いていることを期待し、それらのゆっくりした時間スケールの時系列に、埋め込み解析を適用する。これから集団運動の生成と移り変わりを取り出すことができるのではないか、このような作業仮説に基付く解析を進行中である。
対象としているモデルは、アミノ酸残基を一つのビーズとして扱うビーズモデルである。このモデルは、アミノ酸残基の親水性・疎水性を取り入れており、大胆な簡単化を行っているにも関わらず、折り畳みなどのダイナミックスを良く表現することが知られている。我々は、46ビーズモデルの時系列に、主成分解析・ウエーブレット解析・埋め込み解析を適用し、ゆっくりした運動が比較的少数の運動で記述されるであろうという作業仮説が有望であることを確かめた。
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