研究概要 |
(1)豊後水道日振島への広帯域地震計の設置 豊後水道地域の微動発生域の直上にある日振島にSTS-2型広帯域地震計を設置し、平成16年9月より連続観測を開始した。波形データはISDN回線のインターネット経由で広島大学まで転送し、衛星通信により配信される地震波形データと同化して、準リアルタイムでモニターしている。波形には、温度変化に起因すると考えられる超長周期のノイズが見られるが、微動の周波数帯域(2-20Hz)では、豊後水道に面した九州の観測点(SGS,JUS,N.SIKH)よりもノイズレベルが低いことが分かった。本研究の設置によって、豊後水道地域の地震計空白域が無くなり、微動活動の検出能力と震源決定精度が向上した。 (2)低周波微動の準リアルタイム自動探索・自動震源決定 人工衛星によるデータ通信を用いて配信されている地震波形データを解析して、低周波微動活動の自動検出と自動震源決定を行うためのソフトウェアを開発した。自動検出には、エンベロープ波形の最大相互相関を検定量とする二段階統計的検定法を用いた。また、自動震源決定には自動検出の際に計算済みである最大相互相関値を与えるタイムラグを走時差データとして、シンプレックス法で震源を探索する震源決定法を用いた。これまでに、オフラインデータを用いて検出法と震源決定法の有効性を確認した。現在、オンラインデータに対して適用中である。これによって、これまで不可能であった、バースト的に発生し明瞭なP・S相を持たない低周波微動の活動の、自動モニタリングが可能になった。
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