研究課題
基盤研究(B)
[研究の目的]従来重力データの公表が進まなかったが、近年、地質調査所(地調)構築データベースの一部(14万点)、と志知・山本を代表者とする西南日本重力研究グループ構築のデータベース(9万点)の公表がなされ、大きな転機を迎えた。両者は相補的な分布で構築され、それらを併せれば、西南日本側では全域で空白や希薄な部分は僅かとなった。これに対し、関東・東北日本〜北日本の地域では、事実上の空白域がまだ相当広く残っているという問題がある。ここから出てくる課題は2つで、これを本研究の目的とする。第1課題:主に東日本に残る空白解消・重要地域でのデータの稠密化・および全データの統一処理・規格化・高精度化。地調(現産総研)所収の未公表データの独自収集に努める一方、収録不可能な地域では新規測定・独自データの蓄積を行い、日本列島を覆いつくす「日本列島重力データベース」構築に近づける。第2課題:日本列島重力データベースおよび成果の公表。各種図版など成果の印刷公表、および一般ユーザーの利用に供するための生データの公表をなしとげる。以上の課題・目的を効率よく遂行するための計算機・データ処理システムの導入・環境整備を行う。[本年度の実績]第1課題に関わる成果は以下の通り。関東地域の未収録既存テータの収録と大幅な新規データの取得:(1)九州の離島(甑島・壱岐・平戸島)に残った空白解消、(2)阿寺断層のデータ稠密化、(3)関東・首都圏の広域に残っていた空白の大半を解消、(4)北海道カルデーラ湖水で冬季凍結を利用した稠密測定実施。これで、約4000点の既存データの収録、および5200余点の新規データ取得を成し遂げ、無空白化に向けて大きく前進した。第2課題の具体化として、新規データも全て使用し、東大出版会から「日本列島重力アトラス西南日本および中央日本」を刊行した。本アトラスは、20万地勢図相当範囲を単位区画とし、全58区画においてCD-ROM各10種の図形表示をし、そのうち2種について図版印刷したもので、一般ユーザーにとって使い勝手の良い刊行物となった。また計算処理環境として、PCの更新と測定データのデジタイサズにカラーイメージスキャナーを導入し、能率化を果たした。
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