研究課題/領域番号 |
16340135
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
須賀 利雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70211977)
|
研究分担者 |
時枝 隆之 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 主任研究官 (90354555)
|
キーワード | 北太平洋亜熱帯循環 / サブダクション / 中央モード水 / 移行領域モード水 / 中規模渦 / 通気密度躍層 / フロン / 人為起源二酸化炭素 |
研究概要 |
昨年度までに、高精度・高解像度等密度面気候値データおよび冬季混合層気候値データによるサブダクション率の見積もりから、亜熱帯循環北縁部から沈み込む移行領域モード水および中央モード水が亜熱帯循環の通気密度躍層下部をベンチレートしていることを示してきたが、サブダクション海域から亜熱帯循環内部への移流経路は十分明らかになっていなかった。これらの水がどのように亜熱帯循環密度躍層内を広がるかを、上記2つの気候値データに加え、太平洋横断投下式水温・塩分・水深計(XCTD)データ、プロファイリングフロート、衛星海面高度計データなどを用いて、総合的に調査した。その結果、亜熱帯循環北縁部の水温・塩分前線は中規模渦の影響を受けて南北に大きく蛇行し、長期平均地衡流の東向きの流れを南北に横切るような海水交換をもたらしていることが強く示唆された。この描像と整合するように、長期平均地衡流線の分布から予想されるよりも高緯度で形成される、より低温・低塩分・高密度のモード水が、亜熱帯循環内部に流入することが示された。また、人為起源二酸化炭素の蓄積量を、全炭酸による直接的な見積りとフロン類(CFCs)による間接的な見積りの両面から評価した。その結果、亜熱帯循環北縁部で沈み込む低温・高密度の水を含む中央モード水以浅で、蓄積量、蓄積速度がそれ以深に比べて著しく大きいことを示した。これは、これらの水が直接通気されていることを示唆するもので、上記のサブダクションの描像と整合する結果といえる。
|