研究概要 |
初年度である本年度は本研究の基礎となる部分の整備に主眼をおいて作業を行った。 データとしては衛星データとして静止衛星であるGeostationary Operational Environmental Satellite (GOES)と極軌道衛星データであるAdvanced Very High Resolution Radiometer (AVHRR)を収集した。領域はGOESが層状雲の発生が多いカリフォルニア(W120-W140,N20-N40)とペルー沖(W100-W80,S5-S25)の海上を、AVHRRは日本近海(E120-E140,N30-N50)とした。陸地はアルベドが高く空間不均質性も高いため今回の解析は海上雲を対象とする。本研究課題の日変化を考える上では同じ場所での時間変化が追うことができる静止衛星のデータをメインに解析し、同じ地方時のデータを得ることができる極軌道衛星のデータを相補的に用いることを考えている。 地上データとして長崎県五島列島の福江島のサイトのライダーデータを使うことにし、2003年度のデータの収集を開始した。ライダーは連続観測を行うことができるため定点観測ではあるが、日変化について重要な知見を得ることができる。このライダーデータはAVHRRのデータ解析結果と比較される予定である。 また雲特性の日変化に影響を及ぼす気象要素の特徴を抽出するため気象場の解析を計画しているが、その準備としてECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)の客観解析データの入手及びその整理を行った。この作業によって各気象パラメータの時系列や2次元分布の表示等が容易になった。 更に本研究課題ではデータ解析による現状把握に加えて数値モデリングによるメカニズム研究も行う予定であり、詳細な雲物理過程を扱うためにモデル中の各パラメータの依存性を調べた。 これらを通して本研究課題の基礎準備が完了したことになる。
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