研究課題
日本、カリフォルニア沖、ペルー沖の低層雲について雲特性(雲の光学的厚さ、雲粒有効半径、雲頂高度など)を導出し、その日変化と季節変化の実態を明らかにするためにGOES衛星データの解析アルゴリズムを開発した。これは可視、近赤外の反射率から雲の光学的厚さと雲粒有効半径、雲水量、雲粒数濃度を推定するもので、NOAA/AVHRRデータ解析に用いられたアルゴリズムを改良したものである。また、GOESデータを収集してデータ解析を行なう準備を整えた。ECMWF客観解析データを用いた気象場解析では衛星データ解析に対応する上記の3領域における水蒸気、風系(水平および鉛直風)、気温の特徴的な変化について鋭意解析を進めているところである。また、総合地球環境学研究所福江島観測施設に設置されているマイクロ波放射計、ライダー、パーティクルカウンター、日射計等のデータから、大気境界層内のエアロゾル濃度、粒径分布、消散係数と雲水量の関係について解析し、曇天日と快晴日の大気境界層内エアロゾルの違いを明らかにした。特にライダー観測が雲底下のエアロゾル観測にも威力を発揮することが示された。数値モデルについては、雲凝結過程を組み込んだモデルを開発し、気象場解析から得られた気象条件を入力して計算された雲特性の場が、衛星データ解析や地上データ解析から見いだされた結果と比較してどのような類似点や相違点があるかを調べるために各パラメータの感度実験を開始した。最終年度となる来年度はこれらの経緯を踏まえ、総合的な解析を行なう予定である。
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Geophysical Research Letters 33
ページ: L06802,doi:10.1029/2005GL025093