研究課題
基盤研究(B)
北極振動(AO)、南半球の同様な変動である南半球環状モード(SAM)は極夜ジェット振動(PJO)が対流圏へ下降した場合に現われる変動を包括する対流圏内の環状の半球規模変動である。アメリカ気候予測センター/大気科学研究センター(NCEP/NCAR)作成の再解析データ(NCEP1)、その改良版(NCEP2)、ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)の再解析データ(ERA40)を用いて、これらの変動の形成メカニズムに関する解析を行った。その結果、これらの変動もPJOの変動とよく似て波加速が形成する子午面循環とそれに伴う地表面気圧変化として理解できることが分かった。但し、PJOの場合には帯状波数1の惑星波が波加速の主役であったのに対し、AOでは波数2の惑星波と総観規模擾乱、SAMでは波数1の惑星波と総観規模擾乱が同程度の役割を果たしていることが分かった。他方、気象研究所大気大循環モデル(MJ98,モデルの上端は0.01hPa)を用いて、気候値海面気温の元で太陽高度の季節変化のみを入れた100年の長期積分、及びそれらの境界条件を1月に固定した上で50年の長期積分を実行し、データを総観規模擾乱の解析が可能なように3次元の日平均の形で蓄積した。初期解析からこれらのいずれのランにおいてもPJO、AO、SAMが対流圏成層圏結合を含めかなり現実的に再現されていることが分かった。また、晩冬のSAMに対して大きな外力たる太陽活動の影響を調べ、高太陽活動時にはPJOとの結合が強まるのみならずその持続性が飛躍的に高まること、その理由が、下部成層圏オゾンが熱源として働いていることから来ていることが分かった。これは気象研究所の化学気候モデルによる実験でも確かめた。以上の研究成果を日本気象学会、SPARC研究集会、アメリカ地球物理連合(AGU)、成層圏モデル国際比較研究集会(GRIPS)などで発表した。
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