研究課題
北極振動(AO)の南半球版ともいえる南半球環状モード(SAM)の形成メカニズムについて、アメリカ気候予測センター(NCEP)作成の新再解析データ(NCEP2)を使って調べた。その結果、SAMはAOとは異なり主に波数1の停滞波の作る運動量及び熱波強制と総観規模擾乱の作る運動量波強制の駆動する子午面循環によって形成されていることが分かった。また、長期解析データ(NCEP1)の解析からSAMの近年の大きなトレンドは上部対流圏の運動量輸送のトレンドに遡れることが分かった。また、観測データ及び気候値海面気温を用いた季節変化する大気大循環モデルランを用いて、北半球冬季の突然昇温(SSW)をキーとしたライフサイクルの解析と両者の比較を行った。その結果、大気大循環モデルで再現されたSSWは観測と概ね良く似た性質を持っていることが分かった。しかしモデルでは極夜ジェット振動(PJO)の再現とも言うべきSSW期前後に観測では数ヶ月程度の時間スケールで明瞭に現れる低温信号が不明瞭であることが分かった。他方、昨年度観測データより見出したSAMの太陽活動による構造変調原因を調べるために紫外線強度のみを変化させた化学気候モデルの長期ランを実行し、観測と同様のSAMの構造変調を再現させた。モデルの解析より、高紫外線(高太陽活動)の場合のSAMの高持続性は下部成層圏オゾン偏差の持続性に起源を持つことが分かった。また、紫外線強度が強いほど対流圏成層圏結合が強くなる傾向があることが見出された。以上の研究成果を日本気象学会、アメリカ気象学会(AMS)、アメリカ地球物理連合(AGU)などで発表した。
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