研究課題
冬季の北大西洋振動(NAO)指数の相関パターンは太陽活動によって異なり、高太陽活動期(HS)には半球的パターンとなりかつ上部成層圏まで伸びまた続く夏季まで持続することが知られている。このようになる原因を調べるために、観測オゾンと気象データを用いて相関解析を行った。その結果HSには冬季の対流圏成層圏結合が強まり、結果NAOが成層圏への波伝播そして波加速と相関することによって、成層圏のブリュワードブソン循環と有意に相関することにより晩冬期に下部成層圏に有意なオゾン密度の偏差を作り、これが続く夏にまでメモリーとなり日射が強まる夏季に北極振動的変動を形成することを見出した。南半球環状モード(SAM)について太陽活動と対流圏成層圏結合の関係を調べ、晩冬期においては太陽活動が高まる時に対流圏成層圏結合が強まることが観測データから分かった。また、紫外線強度のみ変化させた3本の化学気候結合モデルのランを行い、このランの解析より、紫外線強度が強いランほど晩冬期の対流圏成層圏結合が強まることが分かった。極夜ジェット振動(PJO)の予測可能性を調べるために、極夜ジェット振動が明瞭に見えた2003/2004年冬季について気候モデルを用いて初冬を初期値として晩冬期までのランを多数走らせた。そのようなアンサンブルランの解析より、初冬の成層圏突然昇温がよく予測できる時期以降からならば冬季にわたるPJOをよく予測できることがわかった。またこの場合には気象場の予測もかなり良かった。他方PJOが不明瞭であった2002/2003年冬季についても同様な実験を行ったところ気象場の予測可能性自体が非常に低いことが分かった。以上の研究成果を日本気象学会、アメリカ気象学会(AMS)、アメリカ地球物理連合(AGU)などで発表した。
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