研究課題
基盤研究(B)
本年度は超微小硬度計を利用して鉱物の塑性変形に関わる硬さを、どのように定量化すればよいのかについて検討した。試料は石英で、単結晶石英、イスアのれき岩中の石英、ビグディンの変形岩中の石英について調べた。バーコビッチ圧子(三角錐形)を使用し、荷重100mN(約10グラム重)で10秒間保持し、その間に圧痕がどのくらい深く沈むのか、すなわち定荷重変位について調べた。石英単結晶では6nm±2nm程度、ビグディンの歪量の少ない変形岩中の石英では、9nm±3nm、歪量の大きい変形岩では14nm±5nm程度となった。また、荷重-変位曲線のループエネルギーを測定した。石英単結晶では6nJ程度、ビグディンの歪量の少ない変形岩中の石英ではxxの値を示した。これらの石英についての計測に先立って、超微小硬度計データに伴っているノイズレベルについての検討を行った。超鋼合金(タングステンカーバイド)をフラット圧子を用いて、100mN荷重下で10秒間保持し、その定荷重変位を測定した。その結果、3±2nmというデータを得た。超鋼合金は非常に硬い物質で、実質上硬さ無限大の剛体として扱い、定荷重変位は超微小硬度計が持っている誤差と考える。これらのデータを解析し、(1)常温常圧で、バーコビッチ圧子により圧痕が安定的に形成されること、(2)同じ石英試料でも産地が違ったり、結晶の方位によって圧痕の大きさが変わることが分かった。また、(3)超微小硬度計自体も振幅が1nm程度で振動していることが分かった。
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