研究課題
本年度は、高温下で硬度を測定できるように装置の組み立てを行った。従来の超微小硬度計(RIDER)では高温(〜400℃程度)にすると、計測システムが破損するおそれがあることが解った。そのためRIDERをそのまま高温用には使えない。そこで、若干測定精度は劣るが、温度に対して鈍感な硬度計を新たに購入し、それに発熱体、温度計測熱伝対、装置冷却用のパイプを取り付けた。ただし、試料を装置に装着する方法に問題があり、高温での硬度の測定はまだ行っていない。高温にも耐えられる試料装着法を考案する必要がある。常温での硬度についての研究は、RIDERを用いて順調に進行中である。これまでは主として石英を試料として塑性流動の仕方について調べてきたが、本年度は新たに方解石、トパーズについても常温で塑性流動を確認した。塑性流動の程度を表示する方法についても検討した。これまでの変位の計測では装置そのもの(RIDER)の変位をきちんと評価していないことがわかった。装置の変位を正しく評価するのは、予想していたよりも容易でないことが解った。そこで、塑性変形の評価には、装置の変位を含まない量で行うことにした。その候補としてループエネルギー、定荷重変位、圧痕の深さを挙げ、詳細に検討した。この3つの量はそれぞれ別の物理的意味がある量である。検討の結果、ループエネルギーと圧痕の深さについては、石英、トパーズ、方解石すべてについて両対数グラフにプロットすると直線になることが解った。しかも3つの直線はほぼ同じ傾きになった。このグラフに鉄のデータをプロットしても同様の傾きになることが解った。
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Journal of Structural Geology 28(in press)
Earth and Planetary Science Letters 240
ページ: 355-377